中小企業基盤整備機構が運営している丸の内のイベントスペース「Tips」で 6月に行われたセミナーの中の、柚木さんのプレゼン資料 |
最近、筆者が浅草近辺に用事がある時、
よくお邪魔しているのが
今年5月にオープンしたゲストハウス&カフェ、
Little Japanです。
ここは、スタッフや他の泊まり客との距離が近く、
行くたびに、
地域おこしや国際交流の話で盛り上がります。
これが楽しく、ついつい何度も足を運んでしまいます。
このお店は、もともと空家だったビルを、
DIYでリノベーションされたのですが、
こちらの立ち上げに当たっては、
創業者の柚木理雄さんの、熱い思いが込められています。
JR浅草橋駅から歩いて10~15分くらいにあります。日本人も泊まり可 |
チャレンジする人が必要
柚木さんは、元農水省の職員。東日本大震災をきっかけに
現場の課題に関心を深めると同時に、
「今の日本に必要なのは、政策をつくる人ではなく、
リスクを取って自らチャレンジする人だ」
との思いから、自ら起業したとのこと。
国家公務員の仕事を辞して
ゲストハウスを始めたことに、
正直驚きましたが、
6月に中小機構が開催したセミナーで登壇した柚木さんが、
「一度しかない人生」「大企業でも潰れる時代」の中、
「チャレンジしないことの方がリスクではないか」と
語っていたのが印象的でした。
カフェのカレーセット。筆者もよく食べています |
地域資源=空家を生かす
起業にあたり、柚木さんが考えたのは、「地域の資源を生かし、
海外向けサービスをつくり、
地域に産業をつくる」ということ。
その際、柚木さんが着目したのは、空家です。
実際、人口が減っている日本では今後、
どんどん空家が増えることが予想されます。
これを、増え続ける外国人観光客と結び付ることが、
地域活性化のカギとなるのではないか。
ただ、日本では、空家をゲストハウスにするのには、
法的なハードルがあります。
なぜなら、普通の住宅やビルなどでは、
日本の法律で定められている旅館施設の基準をクリアできないということ。
柚木さんはあえて、もともと宿泊施設ではなかった建物を
ゲストハウスとして使えるように改修し、
「空家活用の促進という面で先鞭をつけることを狙った」ということです。
今年1月に行われたDIYの様子。筆者も参加しました |
地元住民と外国人客をつなぐ
最近は、インバウンドの拡大に伴ってか、ゲストハウスの数が増えてきているように感じます。
その中でも、「Little Japan」がユニークなのは、
「地域と世界をつなぐ」をキャッチフレーズに掲げ、
地域住民を巻き込んだ取り組みをしていること。
具体的には、一階をカフェスペースとし、
周辺に住む住民と外国人客が
交流できるようにしているということです。
もちろん、カフェにしただけで
地元の方が来るわけではありません。
ゲストハウスを準備する間、
柚木さんは、町内会長さんをはじめ、
さまざまな地元の方に挨拶をして回ったそうです。
その功があってか、今は
近隣の方でも、頻繁に遊びに来る常連客がいるということ。
掲示板には、国際交流などに関する、さまざまなイベントのお知らせなどが貼ってあります。
人が旅するのは、人に会いに来るため
人と人の距離が近いゲストハウスには、「友達をつくりたい」というニーズで来る旅客も多くいます。
「人が旅をするのは、人に会うため、
というのが一番大きな動機ではないかと思う。
浅草の雷門を2回見たいと言う外国人観光客はあまりいないだろうが、
ゲストハウスのスタッフと友達になったから、
また来るという人はかなりいるのではないか」
セミナー時、このように
柚木さんが語っていたことが印象的でした。
今後の発展が楽しみです。
世界各地の時刻を示す時計 |
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