住民と一緒につくるアート:「北アルプス国際芸術祭」(2)

2017年7月7日金曜日

旅行記

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ニコライ・ポリスキー氏の「バンブー・ウェーブ」

6月30日~7月1日にかけて、長野県・信濃大町で開催されていた、「北アルプス国際芸術祭」に行ってきました。
先日、新潟で「大地の芸術祭」を見て以来、農村×アートの可能性の大きさを感じたのですが、今回も色んなことを考えさせられました。

自然の中のアート


前回、空家を活用して行われているアートについて書いたのですが(※アートの可能性:「北アルプス国際芸術祭」(1))、もちろん、自然を活用したアート作品も沢山あります。

これらのうち、特に大規模なアート(「風のはじまり」や「バンブーウェーブ」)は、住民の方々やボランティアとの協業で作られたようです。
実際に近くで見てみると、とても迫力があります。

台湾のアーティスト、リー・クーチェ氏の「風のはじまり」。鷹狩山の頂上にある。日本人と台湾人のスタッフの協業でつくられたとのこと

木でつくられた家となっており、「古代の人間はきっとこんな家に住んでいたんだろう」とはるかな思いに誘われた。個人的には一番印象的な作品でした

バンブーウェーブ。竹が迷路のようにつながっている

こんな棚田の中に突如と出現する

木崎湖にある五十嵐靖晃氏の「雲結い」。天と地の循環をイメージしているそうだが、雨模様で霧がかかった中にいくと、幻想的な雰囲気がある

作品の近くには、関わった信濃大町のボランティアの人たちの名前を記した看板も立っている

手作りのアートフェスタ

この地は、もともと芸術活動が盛んなようです。
例えば、7年ほど前から、「信濃の国 原子感覚美術祭」というアートフェスティバルが開催されているもよう。

だからといって、住民が皆、必ずしも国際芸術祭の開催に前向きではなかったようです。

改めて見ていて、「こういうのを開催するのって、大変だな」と思いました。
このアートフェスタでは、全作品の鑑賞パスポート(2,500円)を買って周遊するのですが、多くの作品に関しては、ボランティアの方が入り口に立っていて、受付をしたり、作品の説明をしたりしています。
これを会期中、毎日、10時~17時までやるので、その負担は大変なものだと思います。

信濃大町駅前にあるインフォメーションセンター。10時前のオープンの準備。ここには、市内の方や台湾から来た方など、さまざまなボランティアが関わっている

市内の至るところに、アートの位置を示す立て看板が置かれている


このほか、各地域に幟を立てたり、案内板を置いたり・・・。また、作品自体は住居に置かれていることが多いので、「観光客と接するのがイヤ」という住民が反対するのも当然だと思います。
実際、今回地元の方と話す機会が何度かあったのですが、開催をめぐって意見が割れたことも多かったようです。


ただ、それでも、僕が話した中では、楽しそうに積極し、生き生きと作品を解説してくれたボランティアさんも沢山いました。

実際、アート作品が置かれている地域の一つ、鷹狩山に歩いて行ったのですが、その際、たまたま地元の方の車に乗せてもらう機会がありました。
その方は、「俺もつくるの手伝ったんだ」と、嬉しそうに八坂地区にある「バンブーウェーブ」まで連れて行ってくれました。

このほか、作品について聞いたら、嬉しそうに夢中で語ってくれる地元のボランティアの方、台湾から来たボランティアの方など、本当に色んな人がいたのですが、なんだか凄く手作りの感じがして、良かったです。
(なお、今回は複数の台湾の有名アーティストが参加しているため、台湾の人の関心も高い模様です)

また、ある東京からの移住者の夫婦が経営されているカフェに寄った際、そこを方と色んな話をしたのですが、「高校の美術部の生徒たちを巻き込んでやってくれたのが、すごく良かった。皆楽しそうだった」と嬉しそうにしゃべっていたのが印象的でした。

地元の方とのふれあい

よく、「どんなに素晴らしい風景があっても、一度見れば、そこを再訪しようとする人はいない。けれども、素晴らしい人との出会いがあれば、人は何ででもそこに行きたくなる」と聞きます。

アートフェスタも、それ自体がどれだけ素晴らしくても、「一度行けば満足」となると思いますが、この背景にある色んな人の思いを感じたり、実際に町の人と交流出来たりすると、また行きたくなると思います。

もっとも、個人的に今回、(おしゃべりベースでは色々と話したのですが)地元の人と深く触れ合う機会がなかったのが多少残念でした。
特に、市内には通常のホテルや旅館はあったのですが、気楽に安く泊まれるゲストハウスなどがないようで、結局、1時間離れた松本まで戻って、そこのゲストハウスに泊まりました。

もう少し気軽に地元の方と関われる機会があればなーといったことを考えながら、2日間の旅を終えて帰途につきました。

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