(大型の台風19号が関東に来ている10月12日の夜、香川でこのブログを書いている)
台風が来る前というのは、独特の気配があるものだ。
空の暗さ、空気の静けさ。木々の葉の重々しい揺れ。今日は、昼頃からそんなものが漂っていた。
僕の住む町は、けっきょく台風のコースからそれたため、強風や大雨に見舞われていない。
それでも、自転車で5キロほど離れたカフェに行ってみると、いつもよりも人が少なく、閑散としているように感じる。
台風と経済
台風の予報を耳にしたとき、どんなことを感じただろうか?反応は人それぞれだと思う。でも、僕もふくめ、一定数以上「イラっ」とした人がいたのではないかと思う。
台風が来ると、電車が止まり、飛行機も飛ばなくなる。そのため、予定していた会議や出張も無くなる。
疲れて休みたかった人にとっては「ラッキー」かもしれないけど、プロジェクトのスケジュールに狂いが生じれば、再調整も一苦労だ。
厳しい納期や締め切りと戦っているビジネスパーソンには、「やれやれ」と泣きたくなる人もいるのではないかと思う。
また、今回は3連休だから、観光業への被害も少なくないだろう。特にこの土日のみ開催のイベントで、中止を余儀なくされたものもあるかもしれない。
イベントの準備は、数カ月、あるいは1年以上かかる場合も多い。それが、台風1つで全部台無しになってしまうのだ。
運営側にとっては、本当にやり切れないだろう。
さらに、収益事業としてやっている場合は、中止によって発生した赤字をどう埋めるのかも、頭の痛い問題となる。
台風と自然からのメッセージ
ただ、ここまで考えたところで、ふと、「自分の考えは、あまりにも「経済」に縛られているのかもしれない」
とも感じた。
以前、東日本大震災の被災地で働いていた人と話した時、
「ある町では昔、津波に備えて家は高台に建てていた。それだと効率が悪いから、現代になって家を低地に建てるようになったところ、津波で飲まれてしまった」。
そんな話を教えてもらったことがある。
経済は大切だけど、「命あってのモノダネ」という側面も、確実にある。
でも、普段、仕事ばかりしていると、そういう優先順位は、わからなくなりがちだ。
(「仕事のことだけ考えればいい」という環境に慣らされている、自分のような独身男性は、特にそういう傾向が強いかもしれない)
台風のような自然災害は、もちろん来ないにこしたことはないのだが、見方を変えると「本当に大事なのは何か、考えなさい」と呼びかける、自然からのメッセージという側面もあるかもしれない。
長い目で物事に取り組むこと
大切なことって、なんだろう。ここまで考えたところで、さらに、こんな問いかけが心の中に浮かぶ。
社会で大事にされていることと、自分が心から大事にしたいということは、必ずしも重なり合わない。
※
ネイティブ・アメリカンには、
「7代後の子孫のことまで考えて行動しろ」
「土地は先祖からの授かりものではなく、子どもたちからの預かりもの」
という教えがあるらしい。
先に紹介した、「津波を踏まえて、家を高台に建てる」という話は、まさに長期的な視野からの発想だ。
「命あってのモノダネ」的な考えも、「短期的に見たら損失だけど、あとで取り返せばいい」的な、長期的視野での考え方である。
ただ、こうした長期的なものの考え方は、現代人としては、実感として捉えにくいのも事実だ。
例えば江戸時代の人間は、基本的に子々孫々が同じ土地で生きることを前提としていたから、
「この土地の自然を荒らしたら、わしらの子や孫が生きづらくなる」
ということが、リアルに想像しやすかっただろう。
ただ、今のように社会の変化が激しく、子や孫が自分と同じ場所に住むことがあまりない時代だと、ナチュラルに、将来、自分やその下の世代がどうなっているのか、という想像は難しい。
僕自身も、正直なところ、「下の世代や、自分の将来をどうしたいのか」をうまく描けていない。
※
近年悪化する、台風や熱波などの被害は、地球温暖化が影響しているのだろう。
現在、気候変動に関して話題となっているスウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさん関連の記事を読んでいて、ぐさっと刺さる部分がたくさんある。
これによると、“今後10年が未来を決める”ということだ。
NHKクローズアップ現代「16才の少女が訴える 温暖化非常事態」
今まで、とりあえず省エネなど、身近でできることはやってきたが、こういう話を見ていて、もっと抜本的な行動が必要だと感じる。
そのうえで、今までの延長線上ではなく、もっと大胆に、意識や価値観を変えることが求められているのだろうと思う。
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