イソギンチャク

2019年10月20日日曜日

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不安が、むくむくっと山のように盛り上がってきて、目が覚める。

目覚まし時計にセッティングした時間より、1時間ほど早く。外はまだ真っ暗。体のあちこちに、疲れは重くこびりついたままだ。

でも、動悸でうまく眠ることができない。

最近は朝、そんな感じのことが多い。


あれも、これも、できていない。

ようは自分の調整不足だが、仕事を抱えすぎて、こなせなくなってしまう。

休まなければ、ますます効率が落ちるので休まざるを得ない。

でも、それで、迷惑をかけている他人に恨まれているのではないかと、怖さと罪悪感がないまぜになっている。

起きている間は、なんとかごまかせるけど、夢では、不安が戻ってくる。

フロイトは『不気味なもの』という著書の中で、「抑圧されているものは、形を変えて戻ってくる」というようなことを語っているらしい。

その通りだと思う。結局は、根本的に解決されていないものは、いつまでも戻ってき続けるのだ。

イソギンチャク


ヨガに、頭頂部の髪の生え際、「百会(ひゃくえ)」のツボを刺激する「うさぎのポーズ」というものがある。

脳の疲れを少しでも取るため、ある夜、これをやってみた。


頭頂をぐりぐりと刺激している最中、ふっと、イソギンチャクのようなゆらゆらしたものが思い浮かんだ。


透明で、濃く暗い海の中で、やさしく揺れるイソギンチャク。

それが、脳をなでてくれているのか、あるいは脳がそのゆらゆらしたものに変わったのか。

それはよく分からないのだけど、このイメージに浸されていく中で、自分も、とろとろと地面に溶けていくような感覚があった。

たぷん、と重くなった体を引きずりながら、ヨガマットからはいずって、布団に入った。


翌朝も、やっぱり、不安で目が覚めた。

でも、不安が突き付けてくる刃は、いつもほどの鋭さはなく、まるで袋にくるまれているようだった。




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