ねまるの玄関 |
※所用で、6月16~17日に新潟の新潟市・長岡市・十日町を旅しました。その記録です。
長岡駅前 |
夜の19時25分。長岡駅前のターミナルからバスに乗り込むと、地元の高校生と思しき制服姿の男女が大勢乗り込んできました。
長岡の市街地を抜けると、明かりが少なくなり、闇が濃くなっていきます。「こちらで合っているのかな」とだんだん不安になってきました。
40分ほどたった後、ようやく目的駅のバス停「与板仲町」に到着しました。
いくつかの飲み屋に明かりがともる商店街を抜けて、住宅街の中を歩いていくと、今日の宿泊先である「ねまる」がありました。
地元の人が集まる場所
隣接したフリースペース |
入り口に近づくと、中から楽しそうな笑い声が響いてきました。
「あー、すいません。毎週金曜は、カレーパーティーをやっているんです」
と、僕と同年代と思しきご主人が笑いながら言います。
中に入ると、数人の男女が、カレーを食べながらテレビを見て、まったり談笑しています。「まるで、学生時代のサークルでの集まりのようなノリだなあ」と、なんだか懐かしい気分に駆られました。
集まっていたのは、地元の青年や、少し離れた地域から来ている若者たち。柏崎や、十日町などから来ている人もいました。
シャワーを浴びた後、「よかったら、こっちに加わってください」とご主人に笑顔で誘われ、その輪に加わることに。彼らはその時、昔懐かしのスーパーファミコンを取り出して、「桃太郎電鉄」で遊んでいたのですが、話しかけてみるととてもフランクな方が多く、長岡や十日町の話、さらにはヨガやヒーリングに関する話で盛り上がりました。
”観光地にゲストハウスをつくらない”
ご主人の三浦さんは、長岡の市街地の出身。東京で働いていましたが、2011年に会社を辞めて日本中を旅し、「ゲストハウスをつくりたい」と思うように。そして、別のゲストハウスで住み込みで働き、経験を積んだということです。
三浦さんは、「人と人が、密につながれる場所をつくりたかったので、あえて観光地につくらなかった」と言います。
たしかに、最近のゲストハウスブームの中、東京や大阪などの大都市、あるいは有名観光地では、宿代の安さを求めてくる人が多いのも事実。また、土地代が高いため、そうした地域でゲストハウスをやるには、沢山の集客が必要です。それだと、お客さん同士、あるいはお客さんとスタッフの交流をするのは難しくなる。
そうではなく、自分がつくりたいのは、もっと、日常の中で触れ合えるような空間、ということです。
(これは、彼が東京で一人暮らしをしていたことから感じた経験もあるようです)
実は、「ねまる」は、基本的にホームページとFacebookで宣伝しているだけで、ほかに広告は一切打っていないそうです。いたずらに客数を増やすことは目指さず、一人でできる範囲で楽しくやる、ということでした。
実際、その日の泊り客は、長期滞在の方一人を除いて、僕一人だけ(もっとも、土日は万人になることが多いようですが)。でも、地域の若者が集まり、すごく楽しそうな雰囲気でした。
地元の住民たちとの関係構築も
表通りの商店街 |
三浦さんは、まったく別の地域でゲストハウスをやることも考えていたそうですが、色々と場所を探す中で、長岡の与板に行きついたということ。
与板というのは、江戸時代に与板藩があり、城下町として栄えていた地域です。鑿やかんなといった、「打ち刃物」の技術が有名でもあります。
過疎化が進み空家が増える一方で、地元にさまざまなお祭りなどがあり、地域活動が盛ん。また、周囲に豊かな自然があり、畑をやることができる点も、ここを選んだポイントだったと言います。
もっとも、同じ長岡市出身とは言っても、三浦さんは与板とはほとんど縁がなかったそうです。
ここの物件ですが、なんと、不動産を介さず、喫茶店で地元の方々と関係をつくり、空家を教えてもらい、直接家主さんと交渉をしたということ。「その方が、自分がやりたいことを直接伝えやすかったから」ということですが、これには驚きました。
その後、約1年間かけて、旅人に無料で泊まってもらう代わりにDIYを手伝ってもらいながら改修を進め、今年2月にオープンしたということです。
周辺には素敵なものがたくさん
次の日の朝、周辺を散歩したのですが、由緒のありそうな古民家やお寺、神社があり、風情がありました。
住宅街であるにも関わらず、自然も多く、歴史もあり、掘り下げてみると、とても楽しそうな場所ですね。
地域の活動の中心に
ねまるの前の通り |
「ねまる」では、地域イベントの打ち合わせが行われたりと、すでに地元の方々の集会所としての役割も果たしているようです。
オープンから4カ月程度で、すでに地域の中に溶け込んでいる様子に驚きましたが、三浦さんは今後、例えばシェアハウスをつくったりとか、まだまだやりたいことがある様子。今後の発展が楽しみですね。
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