『サピエンス全史』:僕たちが生きている時代を人類史から見てみる

2017年6月11日日曜日

読書

t f B! P L


『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(ユヴァル・ノア・ハラリ、2016年)

最近、「今は時代の大転換期だ」と話を聞く機会が増えています。
確かに、2008年の「100年に一度の危機」と言われたリーマン・ショックに加え、2016年にの英国のEU離脱など、時代が大きく変わろうとしている雰囲気が、ひしひし伝わってきます。

けれども、「今が時代の転換期」という以前に、
そもそも僕たちが生きてきたこれまでの時代も、人類、あるいは地球の歴史の中では、かなり特殊な期間だったのではないでしょうか。

例えば、僕は農作業が好きで、休日に田舎に行き、農業体験に参加することがあるのですが、その際、移動や道具の運搬には、軽トラといった車が欠かせません。
しかし、そもそも僕の祖父くらいの年齢の人が若かった時は、車なんてほとんどの人が持っていなかったと思います。

また、今は日本人のほとんどの人がスマートフォンを持っていると思いますが、僕が小学生くらいの時は、携帯の連絡手段といったらポケベルでした。で、携帯電話(ガラケー)が普及したのが高校生くらいです。

こうしたことを考えると、今、ここの状態だけを見て、それが当たり前だと思いこむと、何か大切なことを見過ごすのではないか。もっと距離をとって、今と言う時代を眺めなければ、本当に大切なことは見えてこないのではないか、と感じます。


そんなもやもやした疑問に、おあつらえ向きに登場したのが、昨年発売された『サピエンス全史』。
同書は、人類の誕生から現代までをさかのぼり、なぜ私たちは、地球上の生物の頂点に立ち、(少なくとも人口の数としては)かつてないほど繁栄しているのか、なぜ地球を破壊するほどの力を持ちえたのかといった点を考察しています。

この本は世界的なベストセラーになっていますが、おそらく、僕と同じようなもやもやした悩みを抱えている人たちが多くいるのではないか、と思います。


全体で主に下記の4部で構成されています。
※()は、僕の補足

1、認知革命(虚構を生み出す力こそが人類を発展させた)
2、農業革命(人口増加/定住化/ヒエラルキーの強化)
3、人類の統一(帝国とは何か/貨幣・宗教の誕生がグローバル化の原動力となった)
4、科学革命(近代科学と資本主義の関係)


特に僕自身の問題関心と近い、1、3、4について、これから簡単なまとめと、僕が感じたことを書いていきたいと思います。



QooQ