「日本を知らない外国人の目から見たら、自分の姿はどう映るのか」を問い掛けてみる

2018年2月10日土曜日

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夜20時、有楽町駅そばのカフェ。3連休で、多くの東京人は遠出しているのだろうか。街はいつもより落ち着いた雰囲気に包まれている。

今日は朝から用事があったり、うまく眠れなかったりして、結局4時間くらいしか寝ていない。そのせいか、夕方からどっと疲れが出て、今はだいぶ眠い。

でも、この「休め」という身体からのメッセージを、ポジティブに捉えたいと思う。

3連休ということで、「あれもやりたい、これもやりたい!」「せっかくの休みがもったいないぞ!」という感情が、自分の中を駆け回っている。

でも、こうした「生産的で在らなければ」という感情は、往々にして「体をちゃんと労って」という、もう一つの声をかき消してしまいがちだ。

自分の場合、それで無理して動いて、集中力を欠いたまま物事に取り組んで、不機嫌になったり、体を壊したりすることが多い。

「よい未来は、良い”今・ここ”を重ねることから生まれる」。

前に、あるお坊さんから、そのように言われたことがある。今の自分にとっての、良い”今・ここ”の在り方を、改めて内省してみる。

海外生活が長い友人と飲んで

昨晩は、仕事の帰りに友人と一緒に飲んだ。

前職の縁で知り合った彼女は、高校卒業後、欧州の大学に入学し、今は就職活動の関係で日本に住んでいる。

海外生活が長い彼女の話は、いつも刺激的だが、昨日、話している中でふと、「自分が抱えている悩みのいくつかは、本質的なものというより、日本社会だから生まれる問題なのではないか」と感じた。

「中国に行ったほうがいいですよ」

僕は自己顕示欲が強い人間だ。心のどこかに「他人から、特別な人間だと思われたい」という意識が根強くある。

自己顕示欲が必ずしも悪いことだとは思わない。ただ、最近、何か仕事に取り組む際、「自分が評価されたい」という感情が、目標にまっすぐ向かうことを妨げ、結果的に、自分が持つ力を出し切れていないのでは、と感じることが多くなった

そんなわけで、自分の自己顕示欲をもっとコントロールしなければ、と思っている。

そんな話をしたところ、彼女は笑いながら「中国に行った方がいいですよ」と言った。

「日本人は謙虚さの美徳があるから、自分をアピールすることを嫌がりますよね。。でも、中国人は、『アタシは美人なんだから、美人アピールをすることが美徳』くらいに思ってますよ」

冗談混じりの彼女の話を聞いていて、ふと、街中で自撮りを楽しんでいる中国の人や東南アジアの観光客のことを思い出した。

日本人的な感覚すると、「みっともない」となりそうだが、考えてみれば、そもそも「何を美徳とするか」という観点が異なるのかもしれない。

彼女から、「●●(筆者)さんも、むしろ極端に自己アピールするくらい振り切っちゃってもいいんじゃないですか」と言われ、笑いながらも考えこんでしまった。

アート好きは少数派?

もう一つ、同じく「これって、日本社会だから感じる悩みなのかも」と思ったことがある。

僕は、アートや文学作品(夏目漱石の小説など)が好きだ。自分にとっては、なくてはならないものだと感じている。

その一方で、正直なところ、自分が好きな作家やアーティストを知っている、あるいは読んでいる人は、自分の周りにはほとんどいない。

今現在いない、ということではなく、これまでもほとんどいなかったので、「アートや文学好きの人って、マイノリティーなんだろうな」と感じている。

「自分は好きだけど、大多数の人が興味がないアートや文学作品って、本当に価値があるんだろうか」

そんな疑問について、彼女に話してみた。すると彼女は、このように答えた。

「日本だと、アートって、”頭のいい人だけが楽しむおカタイもの”みたいなイメージがありますよね。でも、イギリスに行くと、普通の人が『私はあのアーティストが好き』みたいな話をしてますよ」。

「へー、そうなんだ」と驚きつつ、思い出したのが、学生時代に自分が留学していたロシアのこと。

ロシアでは、詩人がロックミュージシャンと同じような人気があり、スタジアムで詩の朗読を行ったりするという。

(日本で一番有名な詩人の谷川俊太郎さんでも、さすがにスタジアムで詩の朗読を行うなど考えられないだろう)


場所が違えば、常識も違う。物事の感じ方・考え方も、まったく違う。日本社会だけを見ていて、「これが人間の本質だ」といった考えを持つのは、実に狭い。


僕は学生時代、ロシアに10ヶ月ほど留学していたことがある。彼女と話していて、その時に感じた解放感を思い出した。

同時に、海外に行かない期間が長かったためか、「異文化の視点から自分を見つめる」という感覚が、著しく鈍っていることに気づいた。

「日本について知らない外国人の目から見たら、自分の姿はどう映るのか」。

こうした問いかけを定期的にしてみることによって、自分を相対化して見る視点を持つだけで、改善できることは少なくないかもしれない。


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