「コロナ後のV字回復」
新型コロナウイルスが今、経済に大きな打撃を与えている。
「Withコロナ」でどう経済を維持するか、「Afterコロナ」でどう経済を回復させるか。今後の世界にとって、重要な課題だろう。
ただ、コロナ関係のオンライン対談を見たりする中で、最近、疑問に感じるようになったことがある。
僕たちは本当に「コロナ後のV字回復」を目指してもよいのか、ということだ。
コロナが始まる以前、世界の経済はまあまあ好調だったと思う。
しかし、日本も含む世界の各所で、オーバーツーリズムの問題が発生した。
観光客のゴミ問題で、フィリピンのボラカイ島が半年間の閉鎖を余儀なくされるといった事態も起きた。
LCCにより安く海外に行ける様になったぶん、飛行機由来のCO2が地球温暖化を一層加速させることになった。
自分もそうした経済に加担し、恩恵を受けてきた1人として、誰かを責めるつもりはない。
また、コロナは、大きな失業問題をもたらすだろう。
リーマン・ショック直後の氷河期に就職活動をし、仕事が得られないことの不安を味わった身として、経済の回復は非常に重要だと考えている。
その一方で、「コロナ後のV字回復」ばかりに焦点を当ててしまうと、コロナ以上に大きな問題を引き起こす恐れもある。
そんなことを考えながら、今、自分が、経済と持続可能な社会の間で、宙ぶらりんになって引き裂かれているような気がしている。
「右肩上がり」以外の価値観
そうした中で思ったのは、「右肩上がり」以外の価値観を僕たちは知らないのではないか、ということだ。
個々人のレベルでは、「金より幸せの方が大切」として行動に移せている人もいる。
ただ、ある程度の集団レベルで見ると、経済の右肩上がりの成長以外に、説得力のあるKPI(目標数値)が、思いつかないのではないかと思う。
これは、政治家だけの問題ではない。社会を構成するマジョリティの意識の問題もあるかもしれない。
今回のコロナは、そもそも森林伐採が、自然の中に潜んでいた未知のウイルスを引き起こしたという、環境問題としての側面を持っている。
今後の温暖化の進行により、こういったことはさらに増えるだろう。
コロナが、世の中がもっと幸せな場所に変えるために試練なのか。
それとも、さらなる地獄をもたらすきっかけなのかは、「右肩上がり」以外の価値観を考えられるかどうかにかかっている気がする。
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