「ほら、これがエッフェル塔!」
「あたしは、ルーブル美術館!」
長い冬が過ぎ、春の息吹が感じられる日でした。
太陽の光が、木々の緑をたのしげに浮き立たせます。
風が遠慮がちにそっと吹く中、2人の少女が砂場で遊んでいました。
「あたしは、エッフェル塔の壁を、魔法の靴でペタペタのぼっていくの。」
「あ!じゃあ、あたしは、ルーブル美術館で、モナリザさんとタイムスリップするんだ!」
少女たちの手元から舞い上がった砂は、まるで砂時計のように、夢のような形を造っていきます。
ブランコに揺られながら、マスクを着けたお母さんが2人を見、そして青空を仰ぎました。
(私が若い頃は、パリにいってもローマにいっても退屈なものだった。
もうどこにも行くことのできないこの世界で、この子たちは、本当の旅と夢を見つけたのかもしれない)
お母さんと少女たちの間に、木々が濃い影を落とします。
少女たちの遊びは、いつ果てるともしれませんでした。
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