雨上がりの瀬戸内海 |
この週末は、落ち着かない気持ちで過ごした。
1つは、香港で続いた大規模デモ。香港には友人がいる。デモで怪我をすることもだけど、香港がもっと暮らしづらい場所になってしまわないか、心配だった。
もう1つは、別の友人の直面している困難。友人が今、大きな問題を抱えていることを知り、自分に何ができるか、悩ましい気持ちでいる。
ちょうど昨日(土曜日)は、香川県でも大雨だった。
「まるで、涙雨みたいだな」。
車から、道路を打ちつける雨滴を見ながら、そんなことを感じたのだが、雨に関して、ふと思い出したことがある。
鳥取・境港で見た空
肝心のシーンは取れなかったので、別の写真を |
1年半ほど前、取材で鳥取県に行った。
雨の多い山陰らしく、取材は雨天続きだった。だが、港町である境港(さかいみなと)市に来た時のこと。
地元の名産であるカニ料理の撮影のため、雨の中、タクシーでレストランまで行った。
そこで料理をつくって頂いている間、ぼんやり待っていたのだが、つと、外が明るくなってきた気配を感じて、窓の方を向いた。
すると、今まで灰色に染まっていた世界が、青く輝いていた。
暗い雨雲が割れ、太陽の光が差し込み、海がきらめいている。
一方で、ぐんぐん動いていく雨雲は、遠くでまだ雨を降らせていた。
太陽と青空、海、雨。それらがそろい、世界が輝いている。
人間社会には、いろいろと問題がある。その中で、心が、まるで牢屋に閉ざされてしまったように感じることがあると思う。
でも、世界は本当はもっと、いろんな可能性に満ちているのではないか。
境港の雨上がりの空を見て、そんな感慨が胸の奥に沸き起こった。
新海誠監督のアニメ『言の葉の庭』
雨に関して、もう1つ、忘れられないものがある。
『君の名は。』で知られるアニメーション監督・新海誠さんに、『言の葉の庭』という作品がある。
45分ほどのショートフィルムだけど、個人的に、彼の作品の中で一番好きだ。
『言の葉の庭』は、教員イジメによって職場に通えなくなってしまった女性教師と、将来に悩む男子高校生の、心の交流を描くストーリー。
2人が、梅雨の時期、新宿御苑で出会うところから、物語は始まる。
雨に濡れる木々。池でゆれる水面。人々の行き交う駅。
そんな新宿の風景に合わせて、2人が心に抱えた傷や苦しみ、焦燥、そして優しさが描かれていく。
クライマックスは、大雨の中、2人は互いの気持ちをぶつけあう。
そして、泣きながら抱き合うのだけど、そこに差し込んでくる雲間からの光が、奇跡のように美しいのだ。
この作品を見て以来、雨を見ていて、ときどき、優しい気持ちになれるようになった。
心を潤す、雨のようなもの
政治的な問題には、政治的な解決が必要だ。また、子育てとか教育、経済的な問題には、それに応じた解決策が必要となる。気持ちだけで、どうにかできるものではない。
(感情が先走って、むしろ、問題を悪化させてしまうこともある)
でも、雨を見ていて思うのは、そうした問題に取り組む際に、どこかに1滴、心を潤す雨のようなものも、あってほしいということ。
それが、物事を考える視野を広げてくれる。そして、それが結果を少し異なるものにしてくれるのではないか。そんな気がするのだ
今、困難に直面している友人たちを思い、自分が何ができるかを考えている中で、ふと、そんなことを感じた。
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