「私ばっかり、いつも損をしている!」
「がんばっているのに、報われない!」
こんな感情、抱いたことはありますか?
自分は数年前まで、よくこうした感情を覚えることがありました。
特に、深夜に一人で職場に残っている時。
窓の外の闇が濃くなってきて、静まり返ったオフィスに、自分の叩くキーボードの音だけが響く。
「あーあ、皆帰っちゃったのに、なんでオレだけ、こんなにがんばってるんだろ」。そんなため息が出る。
ここ数年、こういった感情はだいぶ薄らいでいるのですが、最近、夜に残業している時に、ふとこのことを思い出したので、改めて考察してみました。
「私ばかり損している」と感じやすい性格
「私ばかり損している」という感情は、ある種の「マジメ」な人間が陥りやすい心理状態ではないかと思います。「マジメ」の定義は人によって差がありますが、この場合「集団のニーズを慮れる人」といったニュアンス。
「家族を大切にしたい」
「他人に優しくしたい」
「社会に役立つことをしたい」
「会社のためにがんばりたい」
つまり、そんな気持ちが強い人です。
その上で、「私ばかり損をしている」という感情が起きる原因は、2つ考えられると思います。
「私ばかり損をしている」の2つの状況
①集団内での不公平な仕事量
大学生の時、難民支援のボランティアに関わっていたことがあります。
その際、活動をまとめてくれていた女性がいました。彼女はある日、ものすごい怒りながら、
「私だって仕事があるのに、みんな手伝ってくれない!私ばっか大変じゃん!」
と泣き出したことがありました。
NGOなどでありがちですが、熱意ある人ばかりに負担が集中して、その人が燃え尽きてしまう状況。今思い出しても、本当に申し訳なかったと思います。
※
会社でも、誰のジョブディスクリプションにも含まれない、グレーゾーンの仕事があると思います。
以前働いていた職場で、シュレッダーのゴミが、床に散乱したことがありました。
けれども、皆忙しいから、見て見ぬフリ。
結局、ある人が掃除をはじめ、自分はそれを手伝いましたが、モヤモヤした気持ちが残りました。
仕事をしていたら、「この業務は誰が担当なのか」がはっきりしない作業が発生する。そうした時、ある種の自己犠牲的精神を発揮して積極的に動く人がいる一方で、見て見ぬフリをする人がいる。
(自分もそうなっていることがよくあるので、誰かを責める資格はないのですが)
シュレッダーのゴミはあくまで一例ですが、仕事には、そうした場面が多くある。それで、自己犠牲的精神がある人がどんどん疲弊する。
この場合、個々人の心のありようで解決はしません。
だから、負担を少しでも皆で平等に分かち合う、不平等感を減らすような、組織的な解決を探すしかないと思います。簡単ではないのですが。
②要領の良い人間に対する劣等感
僕もそうなのですが、ある種のマジメな人には、こんな”信仰”が無意識のうちにあると思います。つまり、「マジメに生きていれば、いつかは報われる」
「いい子にしていたら、きっと神さまが報いてくれる」
(僕も親から、これに類することを子どもの頃から何回か言われました)
でも、現実社会では、マジメに生きることと、物質的・愛情的な面で幸せになれるかは、あまり関係がないと思います。
むしろ、要領の良さの方が大切だったりします。マジメに見える人間は、得てして不器用で、容量の良い人間には敵わない。
要領の良い人間に対する、劣等感と羨望がないまぜになった感覚。
※
この場合の解決方法としては、
「自分の欲望をできるかぎり素直に見つめる」
「その欲望を叶えられるよう、ストレートに努力する」
しかないと思います。劣等感はとりあえず置いておいて。
要領の良い人間のようになれなくても、自分ができる範囲で、少しでも容量のよくなれるように努力してみる。自分の行動や性格を精査してみたりする。そうしたことはできると思います。
まあ、マジメな人間は、「〜すべき」で考える傾向があるので、「何が自分の欲望なのか」を見つめることに関しては、簡単ではないかもしれません。でも、そこからやっていくしかない気がする。
自分の場合、前の職場にいた時、「自分はいったい、何のために仕事をしているのか」を何度も考えることがありました。
それを通して、ある程度の納得がいった。自分のやりたいことの方向性が、多少なりとも見えてきた。
そのおかげで、最近は、深夜残業に対する精神的な苦しみはだいぶ減ったと思います(まあ、今でも嫌なのは嫌ですし、やりたいことのために、残業はできるかぎり減らす努力をしていますが)。
マジメな性格の奥にある不安?
ただ、「マジメに生きる」ことにこだわる人に関しては、「そうしなければ、自分に価値がなくなってしまう」
「自分の居場所がなくなってしまう」
といった不安があるから、そう振る舞わざるを得ない、という精神的な問題もあるのではないかと思います。
これに関しても、ボチボチ、また考察していければと思います。
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