「ストロー、要りません」

2018年10月21日日曜日

t f B! P L
昨日見かけたチョウチョ。ストロー発明時のモデルになったのは、きっとこの口なんだろう

「ストローをお通ししてよろしいですか?」
「あ、ストロー、いらないっす」

タリーズにスターバックス、ヴェローチェ。最近、休日はカフェで仕事や書きものをしていることが多い。行くのは、だいたいフリーWi-fi1を提供しているチェーン店。その度にカウンターで、こんなやり取りをしている。

店員の反応はさまざまだ。怪訝な顔をされることもあるし、「かしこまりました!」と元気よく返されることもある。不要だと言っているのに、結局ストローを通した状態で渡されてしまうこともある。

ストロー撤廃運動


数ヶ月前から、メディア上でプラスチックのストロー撤廃の動きに関するニュースをしばしば目にするようになった。

スターバックスとマクドナルドという大手カフェチェーンが、今年の夏ごろ、相次いでプラスチックストロー撤廃を目指すことを打ち出した。

それに併せて、ほかの飲食チェーンなどでもストロー廃止が検討されたり、あるいはプラスチック業界が反発したりと、議論が進んでいる。

ストローを含むプラスチックゴミが、環境汚染につながっていることは、かなり前から指摘されていた。それが、ここに来て大きな動きになったきっかけの一つは、SNSらしい。

プラスチックゴミは、現在、土の中に埋め立てるほか、海洋に放棄されることも多い。

これは海の生き物に大きな被害を与えているが、2015年、プラスチックのストローが鼻に刺さったウミガメを撮影したナショナル・ジオグラフィックの動画がSNS上で拡散したことで、一般の人々の関心が高まった。

さらに今年6月、カナダで開かれたG7サミットで、リサイクルを含めプラゴミを減らす「海洋プラスチック憲章」が採択されたことも、その追い風となった。

ストロー撤廃をめぐっては、現在、主に紙製のストローの導入が検討されている。しかし、プラスチックのストローに比べて紙のストローは10倍ほどコストがかかるため、カフェなどでも二の足を踏まざるを得ないというのが、現状だ。

また、プラスチック製造に関わる企業は多くあるので、業界からの反発もある。実際、プラスチックストローがなくなったら、仕事がなくなり困る企業も多いだろう。環境と雇用が、両天秤にかけられている側面もある。

ただ、こうした話を読みながら、ふと、

「あれ、そもそもストローって、なんで必要なんだっけ?」

と思った。

ストローってそもそも必要?


ストローが使われるのは現在、アイスコーヒーやアイスティー、クリームソーダーといった、冷たい飲み物だ。

かといって、冷たい飲み物も、全部が全部、ストローを使うわけではない。バーのカクテルや日本酒のロックは、通常、グラスの縁に口をつけて飲む。

「じゃあ、いったい何のためにストローを使うんだろう?」

そう疑問に思って、少しばかり調べてみたのだが、結論から言うと、よく分からなかったのが正直なところだ。

インターネットに出てくる記事は、ストロー撤廃の動きとプラスチックごみによる環境への被害、業界の反発や紙のストロー導入をめぐる話ばかり。

「そもそも、なぜ人類はストローを使うのか」

という根本に答えてくれるような記事は見当たらなかった。

(英語で探せば、もっと情報が出てくるんだろうけど、そこまでの気力は起きなかった)


じゃあ、ためしに自分がストロー使うのを止めてみたら? そう思って、先日、カフェに行ってアイスティーを頼んだとき、「ストロー要らないですよ」といってみた。

普段はストローを入れているものを、ストローなしで飲む。一瞬、ドキドキする。「変なことやっているみたいに見られるかも」という、世間体を気にする日本人気質も働く。

ただ、一度グラスに口を付けて飲んでみると、拍子抜けするくらい、なんでもないことだった。アイスティーの味が変わるわけでもないし、変に気持ち悪く感じることもない。

しばらくすると、ストローを使わないことにすっかりなじんでしまい、飲み物を傍らに仕事も順調に捗った。

そんな自分の体験を踏まえつつも、やっぱり、ストローって何のためにあるのか、よく分からなかったのである。


ただ、いくつか予想される理由はある。

第一に、食感の問題だ。ストローでチューっと吸うのと、グラスに口を付けて飲むのだと、口触りが明らかに異なる。ここには、好みの問題が現れるだろう。

また、同じグラスにストローを2本突っ込んで一緒に飲む、いわゆる「カップル飲み」のような、オシャレさを求める向きもあると思う(個人的には、こういう飲みをしているカップルを見ると、ちょっと羨ましい気がする笑)。

第二に、コップをちゃんと洗う文化のない国の場合は、感染症対策に有効かもしれない。ストローを使えば、他人の口が触れたところから飲まなくても良いからだ。

もっとも、そういう国の場合は、そもそも飲み物自体に菌がいる可能性があるから、あまり意味がないかもしれないが。

他人に合わせて何となくやっている、不要なこと

正直なところ、このブログを書いている段階では、「プラスチックストローは環境に悪いから、皆やめようゼ」と声高に言えるほど、自分も色々と調べがついているわけではない。

ただ、カフェでストローをもらうのを止めてみて、一点、気づいたことがある。それは、日常生活の中で、「他人がやっているからなんとなく自分もやっている不要なこと」って多そうだということである。

先日、このブログで、1週間ベジタリアン生活を経験してみたことについて書いた。

ベジタリアン生活を1週間してみて感じたこと

これは、もう少し思想的なものが背景にあってのことだったけど、思い切って肉食を減らしてみて、「意外と、肉を毎日食べなくても大丈夫かも」と実感できたのは、自分の中での大きな気付きだった。

記事に書いた通り、肉食を止めているわけではないが、肉を食べる機会はそれからだいぶ減った。おかげで、以前よりも胃もたれがだいぶ軽減され、楽になっている(ストレスでの胃痛は相変わらずだが)。

今回も、ストローを使うのを止めてみて、不要な荷物を一つおろしたような気になって、なんとなくちょっと脳が軽くなったように感じている。

環境問題のような壮大な課題に関しては、正直なところ、まだ勉強不足だ。ただ、自分個人の生き方として、余計なものを手放して身軽になって、その分、大切なことに集中する生き方をしよう。そんな風に、この小さな取り組みを通じて感じた。






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