昨日(8月17日)、東京では秋の到来を思わせる涼しい風が吹いた。
夜道を歩いていると、すでに鈴虫が鳴き始めていることに気づく。
この夏、暑さで亡くなられた方や、熱中症になった方が多くいらっしゃった。
特に西日本では、豪雨からの復興にあたって、多くの方が屋外での作業に大変な思いをされているだろう。
もっとも、今年の暑さは、人間以外の生き物たちにとっても災難だったのではないかと思う。
というのは、例年に比べて、今年はセミが静かだったように感じるからだ。
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ある種のセミは、気温があまりにも高いと鳴くことができなくなるらしい。暑さで消耗するのを避けるため、休息が必要になるということだ。
セミの成虫は、約1カ月しか生きられないという(人間が飼うと1週間くらいで死ぬ)。
そんな貴重な時間の中で、熱波に耐えながら、彼らはちゃんと子どもを残せたのだろうか・・・
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自分の家の近くにある神社では、夜更け、セミが必死に鳴いているのを見かける。
ぼんやりして佇んでいるかと思うと、ときどき狂ったように鳴き出し、飛び立っていく。
ただ、暑さで疲れているのだろう。こちらが近づいても逃げてくれないので、誤って踏み潰してしまったこともある。
基本的に食べるのと、こちらの身を守る目的以外で、なるべく生き物を殺生しないよう心掛けているのだが、このときは申し訳ないことをした。
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セミを見ていると、人生は有限だと感じる。
短い命を精一杯生きている彼らの姿を見て、なんだか居住まいを正されるのである。
明治時代に活躍した俳人・歌人の正岡子規は34歳で亡くなった。彼の享年と今の自分の歳が近いこともあり、最近、彼の句集をときどき読んでいる。
そんなこともあり、自分も手すさびにセミに寄せた俳句と短歌をつくってみた。
夕暮れの 命消えゆく せみの声
夕暮れの 命かがやく せみの声
夜半(よわ)のせみ オフィスの中に 置いてきた 心を思う 帰り道かな
日々の悩みごとに流されがちだが、自分にとって何が大切かを意識しながら、生きていきたいものだと思った。
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