明日を思い煩うなかれ:夏バテが教えてくれること

2018年7月21日土曜日

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夏バテと俳句と風鈴

日本各地で猛暑が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

自分は数週間前から夏バテが続いている。身体も重たいし、頭の働きも鈍い感じだ。

こんな暑い夏、日本人のご先祖さまたちはどう暮らしていたのだろうか。

農村では作物が枯れてしまうこともあっただろうし、町でも今より熱中症で亡くなる人が多かっただろう。

今朝、布団の中でそんなことをぼんやり考えていたのだが、ふと、先日、店先で見かけた風鈴を思い出して、こんな俳句を作ってみた。


水音に 青く澄みゆく 風の色 

夏炎や 脳にしみ入る 風鈴の音(ね)


イメージを扱う力


夏バテは、体温調節を司る自律神経の負担が大きくなって、脳が疲れてしまうため起こるらしい。

つまり、単に暑さを和らげるだけでなく、疲れた脳を癒やす必要がある。

この点、江戸時代あたりから一般に使われるようになった風鈴は、音によって脳の緊張をゆるめ、暑さを和らげる効果があるという。

音で脳の緊張がゆるむなら、俳句が生み出すイメージも、身体のリラックスに役立つかもしれない。


日本では過去、さまざまな分野で繊細なイメージを扱う技術が生み出された。

それらは単なる趣味というより、実際に役立つから生み出された側面もあるのだろう。

現代社会が、過去の日本の文化から学べるものは多くありそうだ。

炎天下で思い出した聖書の言葉



「明日のことを思い煩うなかれ。
明日のことは明日思い煩え。
一日の労苦は一日で足りる。」
(新約聖書 マタイによる福音書より)


先日、仕事で昼日中に外を歩いていた折に、ふと聖書の一句が思い浮かんだ。

自分はキリスト教とはあまり縁のない人生を歩んできた。

ただ、子どものとき、三浦綾子というカトリックの小説家を好きだった影響で、新約聖書は何度か読んだことがあった。

多くの印象的な言葉の中でも、心配性の自分にとってこの文言は、特に心に残ったのがこの文言だった。


もっとも、この一句が脳裏に浮かんだのは、強烈な悩み事があるためではない。

むしろ、普段に比べて、思い悩むことが「できない」状態だからだ。

夏バテというのは、身体がだるくなるだけでなく、思考する体力も奪う。

そのため、炎天下をヒイヒイ言いながら歩いている最中に、「あ、オレ、普段に比べて色んなことをどーでもいいと思っているな」と気付いたのである。


さまざまな心配事が浮かんでくるのは、それだけ「体力があり余っている」からなのかもしれない。

明日の計画を立てることは大切だし、想定されるリスクに対策を立てておくことも必要だ。

でも、一度立てた計画の成果をあれこれ心配するのは、適当にストップをかけた方がいいし、時には考える事項を絞った方がいい。

それが、今、ここを大切に生きることにつながるだろう。

暑さが教えてくれたことである。







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