神社を真似てつくられた「世界一集中できるワークスペース」?

2018年2月15日木曜日

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昨年行った、埼玉県の三峰神社
夜21時半。帰宅途中に二子玉川にあるカフェに寄って、このブログを書いている。

最近、うまく行かないことが続き、心が乱れがちだった。ただ、幸い、今ここで、ノートパソコンに向き合っている自分の気持ちは、かなり落ち着いている。

それは、数日前に始めた、あることが理由かもしれない。

仕事帰りの神社参り

ここ数日、仕事帰りの夜に、近所の神社に寄ってお参りをしている。

もちろん、失敗続きで心弱りしていたためもあるが、一番大きいのは、最近知った、あるコワーキングスペースのことがある。


昨年12月、東京の飯田橋に「Think Lab」という、会員制ワークスペースがオープンした。

僕自身は、まだ行ったことがないが、仕事を通してその存在を知り、先日、ホームページを見てみた。そして、驚いた。

「世界一集中できる場を目指し進化し続ける会員制ワークスペース」を謳っている「Think Lab」は、空間デザインをする上で、なんと神社仏閣の構造をもとにしているという。

「Think Lab」のホームページ

「集中への行程」と書かれたワークスペースに関する説明文を読むと、「鳥居」「参道」「手水」「拝礼」「本殿」という神社の構造が図示されている。

例えば鳥居では、「見慣れない特徴的な入り口から入る瞬間に、集中のスイッチが入る」、参道では、「真っ暗な参道で、自分の足音を聞きながら歩き、神経を研ぎ澄まし良質なストレスを得る」とある。

こうした過程を経て、ワークスペースに着く時には、外界の雑念から切り離され、自分のやることに集中できる状態に至っている、ということだ。

こんな場所をつくろうとした人たちもすごいと思ったが、神社の構造をモデルにしていると聞いて、ふと合点がいった気がした。

神社で「なんとなく気持ちがいい」と感じる理由

以前、このブログで書いたが、僕は「神様はいると思うけど、(自分の倫理的な基準として)神様に帰依はしない」という考え方を取っている。

以前のブログ記事:不信心者の神社もうで

それにも関わらず、パワースポットは好きだ。特に神社は、行くと「なんとなく気持ちがいいな」と感じるので、見かけると立ち寄ることが多い。

前にブログで、その理由の一つとして、「自然が多いことでは」という推測を述べた。

今回、「Think Lab」のホームページを読んでいて、それに加えて、神社の空間設計そのものにも、集中力、つまり「気持ちよさ」を高める深い仕掛けがあるのだと気づいた。

集中力の大切さ

よい集中力で物事に臨んでいる時、自分のやっていることから得られる幸福度も高まる。また、集中力が高まっている時は、不安にも対処しやすい。

こうした点があるからか、多くの宗教では、「集中力を高めること」を重視しているように思う。

例えば、仏教では、人生の苦しみを克服する方法として「八正道」を説いている。8つの生きる心構えを説いたこの教えの第8番目にくるのが、「正定」、つまり正しい集中力である。

ヨガの聖典である『ヨガ・スートラ』の中でも、八支則という、悟り(のような状態)に至るための生き方を挙げているが、その第6番目は「集中」である。

また、ユダヤ人の宗教哲学者シモーヌ・ヴェイユにも、「祈りとは、夾雑物のない純粋な注意である」という言葉がある。

イスラム教にしても、1日5回のお祈りという儀式は、おそらく、集中力を高めるための仕掛けなのだろうと思う。


神社を含め、宗教的な『聖域』と呼ばれている場所は、集中力を高めるなんらかの空間デザイン的な仕掛けがあり、それが「厳かな雰囲気」につながっているのだろう。

必ずしも、既存の宗教的な空間に依らなくてもいいとは思うが、日常生活の中に、こうした「聖域」があると、より心が安定させやすかったり、ものごとに深く取り組みやすく鳴るだろうと思う。

まあ、自分の今住んでいるアパートの部屋だと小さすぎて、どう「聖域」をつくっていいのか分からないのだが、とりあえず、今日もこのブログを書き終わった後に、近所の神社に「不信心者の神社もうで」をしに行こうと思う。

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