台風に考えさせられたこと

2019年10月14日月曜日

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(大型の台風19号が関東に来ている10月12日の夜、香川でこのブログを書いている)

台風が来る前というのは、独特の気配があるものだ。

空の暗さ、空気の静けさ。木々の葉の重々しい揺れ。今日は、昼頃からそんなものが漂っていた。

僕の住む町は、けっきょく台風のコースからそれたため、強風や大雨に見舞われていない。

それでも、自転車で5キロほど離れたカフェに行ってみると、いつもよりも人が少なく、閑散としているように感じる。

台風と経済

台風の予報を耳にしたとき、どんなことを感じただろうか?

反応は人それぞれだと思う。でも、僕もふくめ、一定数以上「イラっ」とした人がいたのではないかと思う。

台風が来ると、電車が止まり、飛行機も飛ばなくなる。そのため、予定していた会議や出張も無くなる。

疲れて休みたかった人にとっては「ラッキー」かもしれないけど、プロジェクトのスケジュールに狂いが生じれば、再調整も一苦労だ。

厳しい納期や締め切りと戦っているビジネスパーソンには、「やれやれ」と泣きたくなる人もいるのではないかと思う。

また、今回は3連休だから、観光業への被害も少なくないだろう。特にこの土日のみ開催のイベントで、中止を余儀なくされたものもあるかもしれない。

イベントの準備は、数カ月、あるいは1年以上かかる場合も多い。それが、台風1つで全部台無しになってしまうのだ。

運営側にとっては、本当にやり切れないだろう。

さらに、収益事業としてやっている場合は、中止によって発生した赤字をどう埋めるのかも、頭の痛い問題となる。


台風と自然からのメッセージ

ただ、ここまで考えたところで、ふと、

「自分の考えは、あまりにも「経済」に縛られているのかもしれない」

とも感じた。


以前、東日本大震災の被災地で働いていた人と話した時、

「ある町では昔、津波に備えて家は高台に建てていた。それだと効率が悪いから、現代になって家を低地に建てるようになったところ、津波で飲まれてしまった」。

そんな話を教えてもらったことがある。


経済は大切だけど、「命あってのモノダネ」という側面も、確実にある。

でも、普段、仕事ばかりしていると、そういう優先順位は、わからなくなりがちだ。

(「仕事のことだけ考えればいい」という環境に慣らされている、自分のような独身男性は、特にそういう傾向が強いかもしれない)

台風のような自然災害は、もちろん来ないにこしたことはないのだが、見方を変えると「本当に大事なのは何か、考えなさい」と呼びかける、自然からのメッセージという側面もあるかもしれない。


長い目で物事に取り組むこと

大切なことって、なんだろう。

ここまで考えたところで、さらに、こんな問いかけが心の中に浮かぶ。

社会で大事にされていることと、自分が心から大事にしたいということは、必ずしも重なり合わない。


ネイティブ・アメリカンには、

「7代後の子孫のことまで考えて行動しろ」
「土地は先祖からの授かりものではなく、子どもたちからの預かりもの」

という教えがあるらしい。

先に紹介した、「津波を踏まえて、家を高台に建てる」という話は、まさに長期的な視野からの発想だ。

「命あってのモノダネ」的な考えも、「短期的に見たら損失だけど、あとで取り返せばいい」的な、長期的視野での考え方である。


ただ、こうした長期的なものの考え方は、現代人としては、実感として捉えにくいのも事実だ。

例えば江戸時代の人間は、基本的に子々孫々が同じ土地で生きることを前提としていたから、

「この土地の自然を荒らしたら、わしらの子や孫が生きづらくなる」

ということが、リアルに想像しやすかっただろう。

ただ、今のように社会の変化が激しく、子や孫が自分と同じ場所に住むことがあまりない時代だと、ナチュラルに、将来、自分やその下の世代がどうなっているのか、という想像は難しい。

僕自身も、正直なところ、「下の世代や、自分の将来をどうしたいのか」をうまく描けていない。


近年悪化する、台風や熱波などの被害は、地球温暖化が影響しているのだろう。

現在、気候変動に関して話題となっているスウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリさん関連の記事を読んでいて、ぐさっと刺さる部分がたくさんある。

これによると、“今後10年が未来を決める”ということだ。

NHKクローズアップ現代「16才の少女が訴える 温暖化非常事態」

今まで、とりあえず省エネなど、身近でできることはやってきたが、こういう話を見ていて、もっと抜本的な行動が必要だと感じる。

そのうえで、今までの延長線上ではなく、もっと大胆に、意識や価値観を変えることが求められているのだろうと思う。











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